ついに、伝説の第1部「公安編」が幕を閉じました。藤本タツキ先生が描く『チェンソーマン』第97話は、これまでの少年漫画の常識を根底から覆すような、衝撃的かつ美しすぎるラストシーンでしたね。
リアルタイムでジャンプ本誌を追いかけていた読者も、単行本で一気に駆け抜けた読者も、あの結末には言葉を失ったはずです。「マキマさんは結局どうなったの?」「最後に現れたナユタって何者?」そんな疑問を抱えている方のために、今回は97話を深掘りして考察していきます。
マキマを「食べて」倒すという前代未聞の決着
第97話の冒頭、私たちは驚愕の光景を目にします。それは、デンジが調理した「生姜焼き」を食べているシーンです。前話までの死闘を経て、デンジが導き出した答えは、マキマという存在を自分の一部として取り込むことでした。
「攻撃」ではなく「愛」としての捕食
マキマは日本国民と契約しており、彼女への「攻撃」はすべて国民の病気や事故に変換されて無効化されます。普通に戦えば、デンジに勝ち目はありません。しかし、デンジはマキマを殺すつもりで食べたのではありませんでした。
「マキマさんと一つになりたい」「罪を一緒に背負いたい」という、歪んでいるけれど純粋な「愛」によって彼女を食したのです。この「認識の書き換え」こそが、マキマの鉄壁の防御をすり抜けた唯一の正解でした。岸辺が「そんな理屈が通るのか」と呆れながらも納得した通り、これはデンジにしか成し得なかった奇跡的な勝利と言えるでしょう。
救われなかった支配の悪魔の孤独
マキマは作中で圧倒的な強者として描かれてきましたが、その本質は「他者と対等な関係を築けない」という呪いに満ちたものでした。支配の悪魔である彼女は、恐怖によってしか他者と繋がることができません。
彼女がずっとチェンソーマン(ポチタ)に執着していたのは、自分を対等に扱ってくれる、あるいは自分を食べて終わらせてくれる存在を渇望していたからかもしれません。しかし、皮肉にも彼女が最期まで「目」を向けていなかった人間のデンジによって、その願いは最悪で最高な形で叶えられることになりました。
新たな支配の悪魔「ナユタ」の正体とは?
物語の終盤、岸辺が連れてきた一人の少女。それが「ナユタ」です。彼女の登場により、物語は新たな局面へと動き出します。
中国で見つかった転生体
マキマが完全に消滅した後、地獄を経由して現世に再び現れた「支配の悪魔」の転生体がナユタです。彼女にはマキマとしての記憶はありませんが、支配の悪魔としての性質は受け継いでいます。
ナユタという名前を聞いて、藤本タツキ先生の短編読み切り『予言のナユタ』を思い出したファンも多いでしょう。スター・ウォーズのような角のような髪型や、どこか浮世離れした雰囲気は、作者の過去作へのセルフオマージュであり、ファンへのファンサービスとも取れますね。
ポチタが託した「たくさん抱きしめて」という願い
精神世界で再会したポチタは、デンジに衝撃的な真実を告げます。「支配の悪魔はずっと、誰かと対等な関係を築きたかったんだ」と。
マキマは愛し方を間違えてしまいましたが、新しく生まれたナユタにはまだやり直すチャンスがあります。ポチタがデンジに託したのは、「ナユタをたくさん抱きしめてあげてほしい」という、あまりにも人間らしくて温かい「お願い」でした。
第1部「公安編」が残したメッセージと伏線回収
『チェンソーマン』第1部は、一見すると過激なバイオレンスアクションですが、その根底には「家族」や「愛」という普遍的なテーマが流れています。
「扉」の向こう側にあった真実
物語序盤から登場していたデンジの夢の中の「扉」。ポチタが「開けちゃダメだ」と言い続けていたその扉の向こうには、デンジが幼い頃に父親を殺害したという重い過去が隠されていました。
マキマによってその扉を無理やり開けられ、一度は精神が崩壊したデンジ。しかし、そこから立ち直り、最終的にポチタの心臓を預かる者として自立した姿は、少年漫画としての王道な成長を感じさせます。
1話からの伏線「匂い」の重要性
マキマは最初から、デンジのことを見ていませんでした。彼女が認識していたのは、デンジの中に眠る「チェンソーマン(ポチタ)」の匂いだけ。だからこそ、デンジがパワーの血を使って潜伏し、不意打ちを仕掛けた際に、彼女は直前まで気づくことができなかったのです。
「一度も俺を見てくれなかった」というデンジの寂しい独白は、読者の胸を締め付けます。しかし、だからこそ最後にナユタがデンジの指を噛み、彼を「個」として認識する描写が、救いとして機能しているのです。
チェンソーマン第2部「学校編」への期待感
97話のラスト数ページでは、驚きの新展開が描かれました。なんと、デンジが制服を着て高校に通っているのです!
悪魔を狩る高校生デンジ
第2部は、これまでの公安という組織に守られた立場ではなく、学生生活を送りながら「チェンソーマン」として活動するデンジの姿が描かれます。ナユタという「妹」のような、あるいは「娘」のような存在を養いながら、彼はどのような日常を送るのでしょうか。
また、第1部で生き残った岸辺やコベニちゃん、そして地獄にいるはずの血の悪魔(パワー)との再会はあるのか。期待は膨らむばかりです。藤本タツキ先生の自由奔放なイマジネーションが、学校という閉鎖的な空間でどう爆発するのか、楽しみで仕方がありません。
もしこれから『チェンソーマン』を読み返したい、あるいは映像でこの衝撃を体感したいという方は、アニメ版やコミックスをチェックしてみてください。
チェンソーマン コミックス チェンソーマン Blu-rayチェンソーマン97話の感想と考察!第1部完結の衝撃とナユタの正体を徹底解説:まとめ
第97話「愛・馬・チェンソー」は、まさにタイトルの通り、愛と、マキマ(支配の悪魔の象徴としての馬)、そしてチェンソーマンの全てが凝縮された最高のフィナーレでした。
マキマを食べて倒すという狂気的な結末から、ナユタを抱きしめるという慈愛に満ちたラストへ。デンジの物語は、ここで一度「家族を得る」という形で完結を迎えました。支配という孤独な鎖を断ち切り、不器用ながらも温かい生活を手に入れたデンジの姿に、多くの読者が涙したことでしょう。
第1部を読み終えた今、改めて第1話から読み返すと、ポチタの言葉一つひとつに新しい意味が見えてくるはずです。第2部という新たな地獄(あるいは楽園)が始まる前に、ぜひこの素晴らしい完結回を噛み締めてください。
今回のチェンソーマン97話の感想と考察、そしてナユタの正体についての解説が、皆さんの作品理解の一助になれば幸いです。

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